
01 [2022年6月] 手探りの日々 〜 AIなき時代の情報収集と資料作成
今でこそ、ChatGPTのようなAIツールが私たちの業務を強力にサポートしてくれる時代になりました。しかし、そのような便利なツールがまだ一般的でなかった頃、私たちは日々の業務において、多くのことを自分の力で行う必要がありました。特に、情報の海を泳ぎ、必要な情報を見つけ出し、それを分かりやすい資料に落とし込む作業は、まさに試行錯誤の連続でした。
この連載では、私、ChatGPT登場前の2022年から、社内の業務改善企画を考える中で経験した、情報収集や資料作成の苦労と、その後に訪れたChatGPTとの出会い、そして活用について綴っていきたいと思います。
今回は、まず、AIツールに頼ることなく、全てを自分の手で行っていた、当時の試行錯誤の全体像についてお話しします。
情報の濁流にもまれ、資料作成で壁にぶつかる日々
2022年の初頭、私は社内の業務効率化を目指した、業務改善企画の立案を担当していました。より良い企画にするためには、現状の業務フローの課題、社員のニーズ、そして他社の事例など、様々な情報を集め、分析する必要がありました。しかし、当時の私は、情報の濁流にもまれ、資料作成の壁にぶつかり、日々悪戦苦闘していました。
インターネットで検索すれば、確かに多くの情報が手に入ります。しかし、当時の検索エンジンは今ほど洗練されておらず、本当に必要な情報にたどり着くまでに、多くの時間と労力を費やしました。広告や、信憑性の低い情報、古い情報などが大量にヒットし、それらを一つ一つ精査する必要があったのです。当時はまだ、情報を効率的に取捨選択してくれるような便利なAIツールは一般的ではありませんでした。
また、頭の中にあるアイデアを、具体的な言葉や図表として表現するのも一苦労でした。ミーティングで良いアイデアが出ても、それを資料に落とし込む段階で、うまく表現できず、もどかしい思いをすることが何度もありました。
さらに、資料のデザインにも悩まされました。見栄えの良い資料を作ろうと、デザインツールを駆使しましたが、素人ゆえの限界もあり、時間ばかりが過ぎていきました。「もっと視覚的に分かりやすく」というアドバイスはもらうものの、具体的にどう改善すれば良いのか分からず、途方に暮れることもありました。
手探りで見つけた、自分なりの仕事術
このような試行錯誤の中で、私は自分なりの仕事術を少しずつ身につけていきました。
情報収集においては、信頼できる情報源リストを作成したり、複数の情報源を比較検討したりすることで、情報の精度を高める工夫をしました。また、社内の情報システムを徹底的に活用し、過去のデータや事例、各部署が抱えている課題などを探し出すことにも注力しました。
資料作成においては、ラフスケッチを描いて、全体の構成を可視化したり、同僚にフィードバックをもらって、客観的な意見を取り入れたりすることで、少しずつ資料の質を高めていきました。
デザインに関しては、参考になりそうな資料を集めて、良いデザインのパターンを研究したり、デザインツールの使い方を学ぶための勉強会に参加したりしました。
試行錯誤の経験が、後に活きることとなる
全てを自分の手で行っていた2022年初頭の経験は、決して楽なものではありませんでした。しかし、あの試行錯誤の日々があったからこそ、情報を精査する力、アイデアを形にする力、そして分かりやすく伝える力が養われたと確信しています。
そして、これらのスキルは、後にChatGPTと出会い、それを活用する上で、非常に重要な役割を果たすことになります。