
09 ブロードバンドへの移行:高速インターネット時代の幕開け
インターネット黎明期、多くのユーザーはダイヤルアップ接続でインターネットを利用していました。電話回線を通じてデータを送受信するこの方式は、速度が遅く、利用時間に応じて通信料金がかかるという欠点がありました。しかし、2000年代初頭から普及し始めたブロードバンドは、高速かつ定額制のインターネット接続を実現し、人々のインターネットライフを劇的に変化させたのです。
ダイヤルアップ接続の限界:遅い、切れる、高い
ダイヤルアップ接続は、インターネットに接続するたびに「ピーヒョロロ…」という接続音を鳴らし、電話回線を占有しました。
- 低速: 最大速度は56kbps程度で、ウェブサイトの表示にも時間がかかりました。
- 接続の不安定さ: 接続が途中で切れてしまうことも頻繁にありました。
- 従量課金: 利用時間に応じて通信料金がかかるため、長時間利用すると高額な請求が届くこともありました。
これらの制約から、当時のインターネット利用は、必要な情報を検索したり、メールを確認したりといった、短時間の利用が中心でした。
ブロードバンドの登場:ADSLとCATV
ダイヤルアップ接続に代わる高速インターネット接続として登場したのが、ADSLとCATVです。
- ADSL (Asymmetric Digital Subscriber Line): 既存の電話回線を利用して、高速なデータ通信を実現する技術です。
- 高速: 下り最大数Mbps~数十Mbpsの速度を実現しました。
- 常時接続: 電話回線を占有しないため、いつでもインターネットに接続できます。
- 定額制: 月額固定料金で、利用時間に関係なくインターネットを利用できます。
- CATV (Cable Television): ケーブルテレビの回線を利用して、高速なデータ通信を実現する技術です。
- 高速: ADSLと同様に、高速なデータ通信を実現しました。
- 常時接続: ケーブルテレビ回線を占有しないため、いつでもインターネットに接続できます。
- 定額制: 月額固定料金で利用できます。
これらのブロードバンド技術は、従来のダイヤルアップ接続の欠点を克服し、高速かつ快適なインターネット環境をユーザーに提供しました。
光回線の普及:さらなる高速化へ
ADSLやCATVに続いて、光回線(FTTH:Fiber To The Home) が登場しました。光ファイバーケーブルを利用して、さらに高速なデータ通信を実現する技術です。
- 超高速: 下り最大数百Mbps~数Gbpsの速度を実現しました。
- 安定性: 光ファイバーは電磁ノイズの影響を受けにくく、安定した通信が可能です。
- 大容量データの送受信に最適: 高画質の動画視聴や、大容量ファイルのダウンロードも快適に行えます。
光回線の普及により、インターネットはさらに高速化・大容量化し、様々な新しいサービスが生まれる土壌となりました。
ブロードバンドがもたらした変化:いつでも、どこでも、当たり前に
ブロードバンドの普及は、人々のインターネットとの関わり方を大きく変えました。
- 常時接続が当たり前に: いつでもインターネットに接続できる環境が、人々の生活に浸透しました。
- リッチコンテンツの普及: 高速通信により、動画や音楽などのリッチコンテンツが一般的に利用されるようになりました。
- オンラインゲームの流行: 高速かつ安定した接続環境により、オンラインゲームの人気が高まりました。
- クラウドサービスの普及: 大容量データをインターネット上に保存・共有する、クラウドサービスが普及しました。
ブロードバンドは、インターネットをより身近で便利なものにし、現代のデジタル社会の基盤を築いたのです。
次回は、ブログ、SNSなど、ユーザーが情報を発信し、共有する「ウェブ2.0」について解説します。