
10 ウェブ2.0:ブログ、SNS、そして集合知の時代へ
ブロードバンドの普及によって、インターネットは高速・大容量化し、常時接続が当たり前の時代となりました。このインフラの変化は、ウェブの世界にも大きな変革をもたらします。情報の流れが一方通行から双方向へと変化し、ユーザー自身がコンテンツを生み出し、共有する「ウェブ2.0」の時代が到来したのです。
ウェブ1.0からウェブ2.0へ:情報の流れの変化
ウェブ2.0という言葉は、2004年頃にオライリーメディアのティム・オライリーによって提唱されました。それ以前のウェブ(ウェブ1.0)は、ウェブサイトの運営者が情報を発信し、ユーザーはそれを閲覧するという、一方通行のメディアでした。
- ウェブ1.0: 企業や専門家が情報を発信し、ユーザーはそれを閲覧する。
- ウェブ2.0: ユーザー自身が情報を発信・共有し、他のユーザーと相互に影響を与え合う。
ウェブ2.0の最大の特徴は、ユーザー参加型であるということです。
ブログの登場:誰もが情報発信者に
ウェブ2.0の代表的なサービスとして、まず挙げられるのがブログです。ブログは、個人が日記や意見、知識などを自由に投稿できるウェブサイトの形態です。
- 簡単な操作: 専門的な知識がなくても、簡単に記事を投稿できる。
- コメント機能: 記事に対するコメントを通じて、著者と読者、あるいは読者同士が交流できる。
- トラックバック機能: 関連記事へのリンクを自動的に通知し、議論を活性化させる。
ブログの登場により、誰もが気軽に情報発信者となり、自分の意見を世界に向けて発信できるようになったのです。
SNSの台頭:オンラインでつながる、広がる
ウェブ2.0のもう一つの柱が、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)です。SNSは、ユーザー同士がつながり、情報を共有したり、コミュニケーションしたりするためのプラットフォームです。
- MySpace、Facebook、Twitter: 多様なSNSが登場し、それぞれの特徴に応じてユーザーを獲得しました。
- 実名制 vs 匿名制: Facebookのように実名での登録を基本とするサービスと、匿名での利用が可能なサービスが存在します。
- 「いいね!」やリツイート: 共感や賛同を簡単に表現できる機能が、コミュニケーションを活性化させました。
SNSは、友人や知人との交流だけでなく、同じ趣味や関心を持つ人々とつながる場としても利用され、新たなコミュニティ形成を促進しました。
集合知:ユーザーが生み出す価値
ブログやSNSの普及によって、インターネット上には膨大な情報が蓄積されるようになりました。これらの情報を整理し、活用する仕組みとして注目されたのが「集合知」です。
- Wikipedia: ユーザーが自由に編集できるオンライン百科事典。
- Amazonのレビュー: ユーザーが投稿した商品レビューが、他のユーザーの購買行動に影響を与える。
- 価格ドットコム: ユーザーが投稿した価格情報や口コミが、商品比較サイトとして機能する。
集合知は、専門家だけでなく、一般の人々の知識や経験を集積することで、新たな価値を生み出す仕組みとして注目されています。
ウェブ2.0がもたらした変化:双方向性と参加
ウェブ2.0は、インターネットのあり方を根本的に変えました。
- 情報の民主化: 誰もが情報発信者となり、多様な意見がインターネット上に流通するようになった。
- 双方向コミュニケーション: 情報の送り手と受け手が、双方向にコミュニケーションできるようになった。
- ユーザー生成コンテンツ: ユーザー自身がコンテンツを生み出し、共有するようになった。
ウェブ2.0は、インターネットをより開かれた、参加型のメディアへと進化させたのです。この流れは、現代のソーシャルメディア時代、そして生成AIによるコンテンツ生成へと、さらなる発展を遂げようとしています。
次回は、「ユビキタス社会の萌芽:いつでもどこでもインターネット」と題して、モバイルインターネットの普及と、それが私たちの生活にもたらした変化について解説します。