
07 eコマースの黎明期:Amazon、eBay、そして楽天市場
インターネットの商用利用が本格化する中で、最も注目を集めたのがeコマース(電子商取引)です。オンラインで商品を購入できるという利便性は、多くの人々を魅了し、Amazon、eBay、楽天市場といった、今ではおなじみの企業がこの時代に誕生しました。
Amazon:書籍販売から世界最大のECサイトへ
Amazonの創業は1995年。当初はオンライン書店としてスタートしました。「地球上最大の書店」を標榜し、従来の書店では実現できない圧倒的な品揃えで、多くの読者を獲得しました。
- 創業のきっかけ: 創業者ジェフ・ベゾスは、インターネットの成長率の高さに着目し、オンラインで販売する商材として書籍を選びました。
- ロングテール戦略: ニッチな書籍も取り揃えることで、多様な顧客ニーズに応えました。
- 顧客レビュー: 購入者が自由にレビューを投稿できるシステムは、当時としては画期的でした。
Amazonはその後、家電、衣料品、食品など、取扱商品を拡大し、世界最大のECサイトへと成長していきます。
eBay:個人間取引を可能にしたオンラインオークション
eBayも1995年に創業。当初は「AuctionWeb」という名称で、個人が不要品を出品できるオンラインオークションサイトとしてスタートしました。
- CtoCモデルの先駆け: 売り手と買い手が直接取引できるプラットフォームを提供しました。
- 多様な出品物: 中古品、コレクターズアイテム、限定品など、あらゆる商品が出品されました。
- 評価システム: 取引相手を評価するシステムにより、信頼性を高めました。
eBayは、個人間取引(CtoC)という新しい市場を開拓し、オンラインオークションの代名詞となりました。
楽天市場:日本独自のオンライン商店街モデル
楽天市場は1997年にサービスを開始。日本独自の商習慣に合わせて、個々の店舗がオンライン上に「出店」する、商店街型のECモールを構築しました。
- 「出店型」モデル: 各店舗が独自のページを持ち、自由に商品を販売できる。
- 多様な店舗: 家電量販店、アパレルショップ、地方の名産品店など、幅広いジャンルの店舗が出店しました。
- 楽天スーパーポイント: 購入金額に応じてポイントが付与され、次回の買い物に利用できる。
楽天市場は、日本国内で大きな支持を集め、現在では日本を代表するECサイトの一つとなっています。
当時のオンラインショッピング事情:課題と可能性
eコマース黎明期のオンラインショッピングは、現代ほど便利ではありませんでした。
- 決済方法: クレジットカード決済が主流でしたが、セキュリティ面での不安もあり、代金引換や銀行振込も多く利用されていました。
- 配送: 現在ほど物流網が発達しておらず、配送に時間がかかることもありました。
- 商品情報: 商品写真は少なく、説明も不十分な場合がありました。
しかし、それでもオンラインショッピングは多くの人々にとって魅力的なものでした。
- 利便性: 店舗に足を運ぶ必要がなく、24時間いつでも買い物ができた。
- 品揃え: 実店舗では手に入らない商品を購入できた。
- 価格比較: 複数の店舗の商品を簡単に比較できた。
eコマースの普及がもたらしたもの
eコマースの普及は、消費者の購買行動だけでなく、小売業界の構造にも大きな変化をもたらしました。
- 消費者の選択肢の拡大: 地域に関係なく、多様な商品を購入できるようになった。
- 小売業界の競争激化: 実店舗とオンライン店舗の競争が生まれた。
- 新たなビジネスモデルの登場: オンライン専業の小売業者や、ECサイト構築サービスなどが登場した。
Amazon、eBay、楽天市場は、eコマース黎明期における挑戦者であり、開拓者でした。彼らの成功は、インターネットがビジネスのあり方を根本的に変える可能性を示したのです。
次回は、インターネット黎明期に登場し、音楽業界に大きな衝撃を与えた「Napster」について解説します